家でひとり、ピアノを弾いていた少女時代。何気に浮かんできた鼻歌のようなシンプルなメロ
ディ。浮かんでは消えていく、形にならない旋律を気ままに演奏する、そんな時間が大切だった。
少女は大人になり、「ジャズ」という言語に出会い、鼻歌や和音を形にすることができるように
なった。前衛的で尖った音楽を求めるようになり、一般的に難解なサウンドと呼ばれるような音
楽に没頭した。出産を経て母となり、我が子が７歳になれば７歳の頃の自分を、１０歳になれば
１０歳の頃の自分を思い出すようになった。顧みると、童謡唱歌や合唱曲が好きな子どもだっ
た。
マパターナルとして活動するようになった２０２４年、自分の根底にある大切な部分を思い出す。
少女が鼻歌で弾いていた素直なメロディ、何気なくおさえていたド-ミ-ソの和音は、メンバーと一
緒なら、形になり、広がり、新しい姿へ生まれ変わった。
グループ名のマパターナルは、マターナル（母性）パターナル（父性）を掛け合わせた造語。
メンバー全員が子育て中、「音楽に向き合うこと」と「子どもと生活すること」はシームレスだと
感じて名付けた。また、次世代の若者たちへ、ジャズと昔懐かしいメロディを新しい形にして繋い
でいきたい思いがある。結成１年に満たないにも関わらずバンドサウンドが確立。あたたかく、
おおらかさがあり、刺激的でも耳を包み込む音楽、と各地で好評。
3人それぞれのフィールドでジャズを現在進行形で発信していることと、日本で暮らし自然や文化
から影響を受けて湧き出るメロディ。ジャズを継承しながら新たなサウンドを実験的に創作する3人のサウンドをお聴き逃しなく。

関谷友加里 　-Yukari Sekiya- ピアニスト・作編曲家
大阪府出身。自然、生物、心情から湧き出たものを空間に響かせるピアニスト。
4才よりピアノに触れはじめ、17才で兄のバンドでライブデビュー。
大阪音楽大学でジャズを学び首席で卒業。師匠からの影響や旅をしたことが重なり曲を作り始める。
自作曲＋即興とヴォイスのグループ「関谷友加里トリオと田中ゆうこ」で2011年に「ありふれた愛なので」をCDリリース、2013年に「加賀温泉郷フェス」グランプリ受賞。
現在は関西を拠点に、ソロ、デュオ、トリオなどでの即興演奏、また名曲と向き合う。
ダンス、舞踏、Live Visual、Live Paintingのアーティストとのコラボレーションワーク多数。
大阪音楽大学ジャズコース講師を務めるほか、福祉と関わりがあり多様性のあるライブを展開。
新鮮で生きた音を奏でることを求め、自身と対話しながら活動している。

大塚恵
兵庫県神戸市生まれ。
高校で弦楽部に入部し、コントラバスを始める。
北海道大学ジャズ研究会入部を機にジャズに出会い、学生の頃から札幌在住ミュージシャンとの活動を始める。
2012年、ピアニストChristian Jacob氏の西日本ツアーのサポートを務める。
坂井紅介、荒玉哲郎氏に師事。
現在、大阪、京都、神戸のライブハウスを中心に活動中。


大森ひろ DS
愛知県出身。１０歳でドラムを始める。２０歳で本格的に音楽を学びたいと思い、甲陽音楽学院名古屋校入学。
2006年奨学金を得てアメリカ、ボストンにあるバークリー音楽大学に留学。
在学中は自分のスタイルを追求し続け、卒業後NYに活動拠点をおく。
ジャズドラマーAriHoenigに師事し、自己のバンドを中心に活動。
2010年２月帰国。
現在東海地区を中心に活動を行う。